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持続可能な未来への道:エシカルショッピングとサステナブルECの重要性

持続可能な消費を目指す「Loop」
「Loop」というサービスをご存知でしょうか。Loopは、「捨てるという概念を捨てる」をミッションに掲げ、フランスやアメリカ、日本で展開するリユースプラットフォームです。メーカーや小売店パートナーと提携し、バス用品や飲料など、様々な日用品をアルミなど再利用可能な容器で販売することを実現しています。日本ではイオンが提携パートナーとしてサービスを展開しており、イオンでLoopパートナーの商品を購入し、その商品を使い切ったら、イオン内に設置されているLoop返却ボックスにリユース可能な容器を返却するという仕組みです。返却された容器は洗浄・充填され、再びイオンの店頭に並びます。

私は2021年にLoopのサービス自体の検証テストとしてユーザーに応募し、参加したことがあります。当時はイオン店頭でのテストではなく、家に商品が届き、リユーザブルなバッグで容器を返却するというECでのサービス形態でした。その後、その検証テストは終了。残念ながら自宅周辺にイオンがなかったため、現在はLoopは利用していません。

▲2021年に実証実験に参加したときのLoopの配送用バッグとリユーザブルな包材

消費行動の変化と環境への負荷、消費の在り方の再考
私たちの生活は、便利で迅速なEC(電子商取引)の恩恵を受け、現代社会における消費の在り方が大きく変わりつつあるのは掌を指すように明らかです。しかし、その裏には大量消費と環境負荷の問題が潜んでいます。ファストファッションや使い捨て商品は、地球資源の枯渇や大量の廃棄物を生み出し、持続可能な社会の実現を妨げているのも事実です。こうした現状に対する反省から、消費者や企業は環境に配慮したエシカルショッピングとサステナブルなECの重要性を再認識するようになりました。

環境問題や社会的責任に対する関心の高まりに伴い、エシカルショッピングとサステナブルなECが注目を集めています。冒頭で紹介した「Loop」もその一つです。このような新しい消費スタイルは、各社の古着回収の取り組みや、リサイクル素材を利用した商品の開発の増加などを見ると、単なる一過性な流れではなく、持続可能な未来を築くための重要な一歩となっていると感じています。

本コラムでは、エシカルショッピングとサステナブルなECの重要性、先進的な企業の取り組み、そして私たち消費者がどのようにしてこれらの動きに貢献できるかについて探っていきます。具体的な事例や最新のトレンドを交えながら、持続可能な消費の未来を考察していきます。

エシカルショッピングの重要性
エシカルショッピングは、公正な労働条件、環境への影響の最小化、動物福祉の尊重など、多くの側面を含みます。消費者がこれらの価値観に基づいて購入する理由には、社会的責任、環境保護、個人的な価値観の反映があります。例えば、「ユニクロ」のECサイトでは、商品詳細ページの商品説明欄に「地球・社会への影響」という項目が設けられ、縫製や編立、組立がどの地域で行われたものかを示し、サプライチェーンにおける生産過程を把握し、自社および第三者で検証する取り組みを進めていることを明示しています。

サステナブルなECとは
サステナブルなECで私が第一に想起するのはAmazonです。Amazonは温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ネット・ゼロ・カーボン」の達成を約しています。

一般的なサステナブルなECのための活動
●エコフレンドリーな商品開発・製造・販売:再生可能素材、リサイクル可能な素材、オーガニック素材を使用した商品を取り扱う
●エネルギー効率の向上・グリーンホスティング: 再生可能エネルギーの利用や、エネルギー効率の高いデータセンターの運用などを通じて、インターネットの運営による環境への影響を最小限に抑える
●環境負荷の少ない配送:カーボンニュートラルな配送オプションを提供する。(例:自転車配送や電動車両の使用、カーボンオフセットの購入など)
●エコフレンドリーなパッケージ:再利用可能な包装材を使用し、配送におけるカーボンフットプリントを削減

企業の取り組み事例
企業は、持続可能な取り組みを実践することで、ブランド価値を高め、顧客からの支持を得ています。前述したAmazonは再生可能エネルギーの使用を拡大しており、Patagoniaはリサイクル素材の使用を推進しています。

消費者の役割と影響力
消費者は、エシカルショッピングを通じて企業の行動に影響を与える力を持っています。Instagram上でもエシカルな消費を専門とした情報を発信するアカウントも多く存在し、数万人ものフォロワーを擁するアカウントもあり、人々の関心の強さが窺えます。環境問題やエシカルなビジネスについての啓蒙活動やキャンペーンは、衰えることなく、ソーシャルメディアやインフルエンサーの影響力や貢献もより強大なものになっていくでしょう。

ECにおけるエシカルショッピングとサステナブルの展望
テクノロジーの進化は、エシカルショッピングとサステナブルECの発展を支えています。AIは、在庫管理や物流の効率化を助け、ブロックチェーンはサプライチェーンの透明性を高めます。法規制の強化も、企業の責任ある行動を促進します。

エシカルショッピングとサステナブルECは、持続可能な未来に向けて不可欠な要素です。消費者と企業が協力して、持続可能な社会を築くことが求められます。これからも技術革新や法規制の進展により、より多くの企業が持続可能な取り組みを行うことが期待されるでしょう。まだまだ大企業の事例が多く、テクノロジーの導入など大規模投資ができない、などと思われるかもしれませんが、消費行動の変化に注目し、ECサイト上にコンテンツを用意したり、商品説明にちょっとした一言を記載したりすることから始めてみてはいかがでしょうか。

muraishi

JECCICA客員講師 村石怜菜

株式会社パルコ・シティ シニア・コンサルタント。

日本女子大学被服学科卒。大手専門店企業で接客販売・店舗運営を経験した後、Eコマース支援企業で数々のファッションブランドのECサイトの構築や運用に携わる。現在は、ファッション専門店や商業施設へのECコンサルティングを得意としている。また、クライアント企業のオムニチャネル戦略の計画・実行を支えている。


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