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2026年 年頭所感 松本誠世

明けましておめでとうございます。
2026年の新春を迎え、謹んでご挨拶申し上げます。
国内のEコマース市場は成熟期に入りつつある一方で、テクノロジーの進化と消費者行動の変化により、いま再び大きな転換点に立たされています。

2025年を振り返ると、生成AIの本格普及は、EC・WEBマーケティングの実務に決定的な変化をもたらしました。商品説明文、広告コピー、画像生成、動画制作、さらにはカスタマーサポートに至るまで、AIは「使えるかどうか」ではなく、「どう使いこなすか」が問われる段階に入っています。2026年は、AIを単なる効率化ツールとしてではなく、顧客理解と価値創造のパートナーとして活用できる企業が、競争優位を築く一年になるでしょう。

また、検索行動の変化も見逃せません。従来のSEO中心の集客から、AIによる要約・推薦、音声検索、SNS内検索など、『検索の分散化』が一気に進んでいます。これからのEC事業者には、検索順位だけを追うのではなく、「どの接点で、どんな文脈で、ブランドが語られるか」を設計する、オムニ検索時代の情報設計力が求められます。

一方で、広告環境は引き続き厳しさを増しています。CPCの高騰、クッキーレスの進行、媒体依存リスクの拡大により、『広告を回せば売れる時代』は完全に終わりを告げました。2026年は、LTVを軸にした顧客育成、コミュニティ形成、CRM・MAの高度化など、既存顧客との関係性をいかに深めるかが、収益構造を左右する鍵となります。

その中で改めて重要性を増すのが、「ブランド」と「ストーリー」です。価格や機能だけでは差別化できない今、消費者が選ぶのは、共感できる理念、背景、そして“人”が見えるブランドです。特に中小EC事業者にとっては、規模ではなく、想いと専門性を軸にした尖ったポジションこそが、AI時代の最大の武器になります。

さらに、物流・決済・越境EC・サブスクリプションなど、周辺インフラも進化を続けています。国内市場の伸びが緩やかになる中、2026年は小さく始める越境ECや、リアルと連動したOMO施策への挑戦が、次の成長機会を生む年になると考えます。

こうした環境変化の中で、私たちECコンサルタントに求められる役割も変わります。単なるノウハウ提供者ではなく、経営者の伴走者として、数字と現場と人の感情をつなぐ存在であること。テクノロジーと人間性、その両立を支援できるかどうかが、これからの価値となるのではないでしょうか。

2026年は、不確実性の高い時代であると同時に、挑戦する者にとっては、これほど面白い時代はありません。変化を恐れるのではなく、学び続け、試し続け、そして仲間とともに前に進む。その姿勢こそが、ECの未来を切り拓く原動力になると信じています。

本年が、協会の皆様、そして日本のEコマース業界にとって、さらなる発展と飛躍の一年となることを心より祈念し、年頭のご挨拶といたします。


JECCICA客員講師 松本誠世


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